東区保護司会創立50周年お祝い寄稿文

2022.08.02

                     絆の再生
 
 札幌市東区保護司会が創立50周年を迎えられましたことを心よりお喜び申し上げます。
 生命が脅かされるのみならず、経済活動、社会活動を根底から覆すコロナ禍にあって、様々な支障を乗り越えながら、保護司としての活動を継続し、罪を犯した者の更生や犯罪
予防、明るい地域社会づくりに活躍しておられますことに心からの敬意を表します。
 
   平成20年、更生保護議連を立ち上げて以来、毎年のように「保護司連絡協議会」「更生保護女性会」「札幌協力雇用主会」「BBS会」合同の懇談会を重ねてまいりましたが、新型コロナウイルス感染症が拡大したこの2年余りはそれが中断されていましたことに歯痒さを憶えております。しかしながら、札幌市に対する「7項目の要望」は、サポートセンター、入札加点制度をはじめとし、ほぼ実現いたしました。まだまだ中身を充実させなくてはなりませんが、4団体の皆様と共につくることができた貴重な実績です。
   
 社会は大きく変わりました。地域共同体の崩壊とともに犯罪をはじめとする地域の課題も変化しました。努力しても報われるとは限らない格差社会にあって、学校、職場、家庭の中に居場所を失った若者たちの多くが、すでにコロナ禍以前ら、ネット空間に繋がりを求めていました。通信技術の驚異的な進化は、確かにいじめや犯罪などを陰湿化させ、見えにくいものにしています。
 
 そして今回のコロナ禍。感染のスピードを上げながら世界中に広がる新型コロナウイルスは、生命の危険はもちろんですが、人々に「今いる場所が安全安心ではない」という不安を与え続け、人と人との絆を分断します。
 
 キャンパスライフや旅行、飲食をしながらの語らいといった楽しみが奪われ、ストレス生活が強制されます。
 
 コロナ禍にあって、この20年漸減傾向にあった犯罪は、件数こそ更に減ったものの内訳をみると、家庭内の虐待やD Vそして性的被害や詐欺、サイバー犯罪など、陰湿で見えにくいものが増えています。統計で気になるのは、近年の検挙人員に占める再犯者率です。
 
 札幌市では、令和元年に4団体はじめ関連団体と「再犯防止推進計画」の早期策定に向け、市長に要望書を提出しました。その後、市はコロナ対策を優先し、未だ実現していませんが、来年度いっぱいの制定を目標に求めています。一方で、「第3次札幌市犯罪のない安全安心なまちづくり基本計画」の策定、「犯罪被害者支援制度」「札幌市客引き行為等防止に関する条例」等を成立、施行してきました。

 「犯罪のない安全・安心なまちづくり」は容易ではありませんが、鍵となるのは専門や立場の異なる多様なメンバーが本音の意見を交換することです。見る角度がほんの少し違っただけで全く違う展望が開けてくるはずです。札幌市議会更生保護を支援する協議会のメンバーとして、諸機関の皆様と共に、安全安心なまちづくりに努めてまいります。

 東区保護司会の今後ますますの発展をお祈りしお祝いの言葉といたします。
 
                               札幌市議会更生保護を支援する
                                      
協議会会長 鈴木健雄